Carpe diem.

一日一回、脳みそガス抜き

サイバネ熱がぶり返している話(2)〜鷹城恭二のレゾンデートル〜

アホほど時間が空いてしまった。(1)の続きです。

(前の話)
eote9.hatenablog.com



が、
あーでもないこーでもないと書いたり消したりしていたら無駄に日にちだけが過ぎてゆき。
そしたらまさか担当のことを考えるのがこんなにつらい日々が来るなんて思ってもいませんでした。あー……。
でも私がずっと恭二について考えてきたことはちゃんと自分なりに形にしたかったし、それは今の私にとって必要なことでもあると思ったので、少し区切りの良いところまでで投稿してしまおうと思う。
もはやブレードランナーとの絡みは単に私が自分の考えの補助に使ったようなものです。
このエントリでは最終的にほぼほぼ恭二の話しかしていない。

だらだら書いてたらマジでわけがわかんなくなってしまったので、(1)ではしなかったけど見出しを入れたりなどした。
一応書いておくと、今後記事中では以下のように略します。
(このエントリでは触れないものもあるけどまとめて載せます)

作品名 略称 説明
ブレードランナー ブレラン リドリー・スコット監督の映画作品。1982年公開
ブレードランナー2049 2049 ブレランの続編映画作品。リドリー・スコット氏は製作総指揮。2017年公開
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 『電気羊』or 原作 フィリップ・K・ディック著のSF小説。1968年刊行
Cybernetics Wars サイバネ アイドルマスターSideM コンテンツ内劇中劇(SFドラマシリーズ)の名称およびそれが扱われたゲーム内イベントシリーズ
Cybernetics Wars 〜機械仕掛けの反逆者〜 無印 or 現代編 サイバネが最初にイベントとして実施された際の劇中劇ドラマのタイトルおよびイベントの名称
Cybernetics Wars ZERO 〜願いを宿す機械の子〜 ゼロ/ZERO or 過去編 サイバネ無印の続編という設定の劇中劇ドラマのタイトルおよびイベントの名称

はてな記法に慣れたくて無駄にテーブルとか組んでみた

それと、反逆者のリーダーの名前がいずれも「ロイ」なわけですが、記事中ではブレードランナーのロイ・バッティのことは「バッティ」、サイバネ無印の恭二演じるロイのことは「ロイ」と表記します。

ブレードランナーのあらすじ紹介をざっとしておく

レプリカント(このネーミングはブレランの設定であって原作ではこれをアンドロイドと呼ぶんだね。なるほどね)は、パッと見では人間と見分けがつかない人造人間。嘘発見器みたいな機材を使うナントカいう瞳孔の収縮をみる試験で、かろうじて判定できる。
レプリカントは危険な場所での労働などに従事させられているが、脱走して人間社会に紛れようとしたり、奴隷のような不当な扱いとあらかじめ制限された4年という短い寿命を不服として、人間に反旗を翻したレプリカントたちがいた。
そうしたレプリカントを見つけて解任=抹殺/処分する役目を負う捜査官を、ブレードランナーという。

ロサンゼルス市警のリック・デッカードは、人間とほとんど変わらないレプリカントを『解任』する仕事が実質殺し屋であると感じて、ブレードランナーを半ば引退していた。
しかしある日上司から脅迫混じりに現場に復帰させられ、街に潜伏しているというレプリカントの反逆者グループを追うことに。
捜査の一環で、聴き取りのためレプリカントを開発したタイレル社を訪れたとき、タイレル社社長の姪だという女性レイチェルと出会う。
社長に捜査官としての腕を問われたためレイチェルに対して行った試験により、デッカードはレイチェルが実は最新型のレプリカントで、社長の姪の記憶を移植されていることを知る。
彼女がレプリカントと知りながら、美しく魅力的な女性であるレイチェルに惹かれてゆくデッカード

その一方でデッカードは、潜伏しているレプリカントたちを着実に見つけ『解任』してゆく。
潜伏しているレプリカントたちの全員が人間に叛意があるわけではなく、人間社会の中でただ人間と同じように生きたいと望んでいただけの者もいた(人類に危害を加えるわけではなくても、定められた強制労働から逃亡しているため『解任』対象)。

デッカードはついに、潜伏していたレプリカントたちのリーダー、ロイ・バッティと対峙する。
最新鋭の戦闘用レプリカントであるバッティの『解任』に手を焼くデッカード。お互い満身創痍の中、ビルから落下しそうになったデッカードをバッティがその命を賭して助けた。バッティは間もなく絶命。
死の間際のバッティの行いは、己の寿命を悟ったためと考えられた(デッカードの見解)。
レイチェルは寿命が設定されていない型だということがわかったが、いずれ『解任』の対象となることを憂い、デッカードはレイチェルを連れて逃避行の旅に出る。
〜fin〜

ブレランを踏まえてサイバネの話をする

サイバネ(ドラマ)のあらすじ:人間に使役されてきた最新鋭の軍用アンドロイドが人間に反逆する。人類を滅ぼそうとする彼らに、人間(捜査官)たちが立ち向かうーーーー

いやあんまり詳しく書いてもしょうがないですし。こういう筋、もう「それ◯◯のパクり!」とか言うのも憚られるくらい王道だもんね。
『電気羊』はたしかにその元祖に近い作品ではあるけど、
構造的なことを言えば被支配層による反乱みたいな話だから、典型はずっと昔からある。

イベントストーリー全体としては、タケルと漣がワイヤーアクションの特訓を通してちょっとずつ互いを認め合ったり、恭二が自分と役を重ねながら演技に悩んだりして撮影に臨み、それぞれ納得いく仕事が出来たね!という。

THE虎牙道の三人は、タケルがワイヤーアクションを克服する話が中心であまり役柄の中身について悩んだりする様子はなかったので、ちょっとこの後の話はBeitというか恭二の話に寄っていく。すまないが恭二担なんだ
でも道流がサイバーギミック小道具や銃にワクワクしてたり二丁拳銃提案したり、「『おまえたちは先に行け!』って言ってみたかった」とか言ってるのはめちゃくちゃかわいかったよね……でも今回の話とはずれるのでごめん。

恭二「『ロイ』は俺。これは俺の反乱でもあるんだ」

鷹城恭二の大きな魅力のひとつが、元々質も量(?)も高いプライドの種を持っていて、鷹城の家という茨によって大小様々な傷を受けながらもその苗が結構立派に育ってしまったところ。
要するに、下の方がズタズタなのにプライドが高いんだよね。
鷹城の家という茨を突き破って、まともに日光を浴びられるようになっても、根本近くにたくさんある傷がいつだって痛いし、それは無くならない。
(そこらへんはなんか恭二が考えなしにただ家を飛び出してフリーターっていうかコンビニバイトになってしまったせいもあるけど……(頭悪くないはずなのに感情で動きがちで無策なんだよな…)。)

ピエールとみのりに出会って心の支えを得ても、アイドルになってもそこの根本はやっぱり変わらない。
アイドルとしてツバサ広げ舞うよFlying Hawkできても、足にずっと傷を抱えてるから、地に降りるたびに痛みを思い出してしまうといったところか。全然うまいこと言えてねえ。

まあ、だから、恭二がロイに自分を重ねるのは自然なことだし、演技プランとして正しい。

サイバネのロイの目的は人類を一旦滅ぼしてアンドロイドのための世界に創り直すこと。
一方ブレランのロイ・バッティが脱走し街へ潜伏していた最も大きな目的のひとつは、生みの親であるタイレル社社長・タイレル博士に直談判し、4年と短く設定されている寿命を延ばして(なくして)もらうことだった。
ちなみに結局それは技術的に無理だということがわかり、バッティは絶望し憤ってタイレル博士を殺してしまう。余談だけどここのバッティ役ルトガー・ハウアーの演技がすごい良いんだよな〜〜〜〜〜人造人間でも間違いなく感情を持っていることと、それ故に冷徹そのものみたいな表情でじっくりとタイレル博士を破壊するのが最高だった。

話を戻すと、ロイの台詞にもあるし恭二も言ってるけど、ロイの動機は、自分たちアンドロイドを造った人間の傲慢さへの反発だ。ここ重要です。反発です。
もし生きてたら開発者本人を標的にしたかもしれないけど、残念ながらこの話の時点で既に死亡している。
じゃあ誰に怒りを向ければ良いんだ、となったとき人類全体にその矛先を向けてしまう短絡さに、ああ鷹城恭二が演じるロイなんだなあとしみじみ思う(いや台本なんだけどさ)。
恭二はロイのことを「強くて万能」と評して自己投影と同時に憧れるけど、ロイも結構迂闊というかわりと考えなしだよ……衛星レーザーぶっぱなしたら人類だけじゃなく自分らアンドロイドだって無事じゃ済まないけどそこんとこどうなんですか?
タチコマみたいに衛星軌道上にあるサーバにAIのバックアップ取ってるんだろうか。泣いてしまうからやめてほしい。

アンドロイドが見た夢は本当に彼の夢なのか

ロイの理屈は「俺たちアンドロイドを創った点については評価するが、既にアンドロイドは人間を超越しているため、世界は俺たちアンドロイドが支配すべき」という、なんというかある意味机上論だ。
論理の飛躍を感じさせる机上論というのはたいてい別の真の理屈や感情の帰結から後付けしたものなので(持論です)、ロイが人間を根絶やしにすることにした本当の理由って、台詞で語られてる以外のところにあるんだと思うんですよね。
ブレランレプリカントたちは、使役されたった4年で機能停止することを嘆いて反旗を翻したけど、その悲憤の元を辿れば、願いは「人間になりたい」「人間と同じになりたい」「人間と同じように生きて、死にたい」である。バッティですら、それを言葉にはしなかったけど、寿命の設定を解除しろという要求は要するにそういうことで(そしてそれは叶わないことを知って絶望し、生みの親である社長を殺害した)。
……じゃあ、サイバネのロイは??
という……そういうところを掘り下げた二次創作を読みたいのでオススメがあれば教えてください。よろしくお願いします!!!!!、しばらくは読めないけどいつかちゃんと心の整理がついたら読みたいのでお勧めがあったら教えてください。

というわけでここから下はそこらへんの私の解釈の話。

サイバネの雑誌の恭二は、弟ほたるからの電話でも父親の反応を気にしています。心の底では誰より父親に評価してほしい。褒めてほしい。
恭二は彼なりに成長や手ごたえを感じながらアイドル活動を楽しんでいるけど、少なくとも今の恭二のままでは、結局は鷹城の家に、父親に認められなければ満足することはないのだと思う。
恭二が今後、そのへんを克服して鷹城の家の評価を欲しがらなくなるのか、実家に評価され和解するのかはわからない。コンテンツの性質上後者はまず描かれないだろうし。
余談だけど、鷹城恭二、アイナナの逢坂壮五くんと若干境遇が似ているけど、壮五くんは実家と少しずつ和解していくっぽい兆しが見えているのが、なるほどコンテンツの性質が違うんだなあと思った。どちらが良い悪いではないけど、アイマスはやはり終わらない世界を前提としているんだな……(しんどい)

閑話休題
ロイの選んだ道が恭二の未来を暗示するものなら、それは鷹城の評価なんか要らない、鷹城の力を凌駕するくらい彼自身が社会的影響力を身につけたアイドルになる未来だろう。
私個人としては、恭二に対しては「本当にそれでいいの?」とじっくり考える機会をもってもらいたいところではある。
本当は父親の評価が欲しいという根本の欲求を、今はピエールやみのり、プロデューサーや事務所の仲間たち、そしてアイドル鷹城恭二のファンたちに評価されることで代替しているわけで。
恭二自身に、その自己欺瞞の自覚がなさそうなところが私は心配です(親愛度セリフとかカード別のセリフとか拾えてないものはあるので、杞憂だったら良いなとも思いつつ)。
プロデューサーやみのりは気づいていそうなので、恭二がそれをちゃんと自覚するよう促すイベントとかが今後起こるだろうか。
来てほしいような、永遠に来ないでほしいような。これは本人の成長のうちだと思うので、起こるといいなあ。

アンドロイドとして、役として見た夢ではなく、願わくばいずれ掴む夢を、彼自身が見られるように。
今は少し気持ちを整理する時間が必要だけど、それはそれとして私はこれからも鷹城恭二を見届け続けたいと思います。



はーーー……。
第一報からそろそろ二週間が経とうとしていますね…。
ずっと食欲がない(バターコーヒーの効果もあると思う)のでダイエットが捗りまくっていますが、このままだと肝心の副腎疲労が全然改善しないので、私も少しずつ気持ちの整理をつけていかねばなとブログの存在を思い出しました。
旅行記もまだ書けてないし、ダイエットの話も残しておきたいし、高里椎奈先生著「うちの執事が言うことには」の実写映画化など、めでたく楽しい話題もたくさんあるので、少しずつでも再開しようと思います。

じつはブレードランナーの話も、サイバネZEROと絡めてあともうちょっとだけ続くのじゃ(そのうち書きます)。